問2

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「夏乃は電車通だっけ?じゃあチャリなんてないよね…」 「……う、ん。そう、だね…?」 目の前で私の名前を呼ぶ人物―――それはチャラ男として名高い、金森くんだった。 あまりにも自然に私を下の名前で呼ぶので驚いてしまった。 …これがチャラ男の力かっ……! 「そっか、じゃあ買い出しは俺と本田と―――…」 感心しているうちに、金森くんはさくさくと話を進めていた。 次々に担当が決まって、私は亜紀と黒板の装飾担当になった。 「夏乃って文芸部なんでしょ?じゃあそういうの、得意そうじゃね?」 誰に聞いているのかわからない、金森くんの一言で決まってしまった。 しかしこの金森くん、見かけによらず、なかなか頭のよさそうな発言をする。 というか、人を見て適材適所に配置する能力に長けているようだ。 例えば関西出身で話の上手い井上くんに、生徒会に黒幕を取りに行かせるとか。 字の綺麗な萌奈ちゃんに看板を作ってもらうとか。 見ていてなるほど、と思えるような人選をする。
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