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金森くんの顔がグッと私に近づく。
こうやって見ると、金森くんは結構綺麗な顔をしているとわかる。
「文芸部で何かあったりしないの?」
「うん、何もないよ?」
それでも念を押すように質問を繰り返す金森くんに、少し笑ってしまった。
文芸部の展示は、いわゆるセルフサービスといった感じだ。
ただ借りた教室に部誌を置くだけ。
貰いたい人、勝手に貰ってくださいという、なんとも投げやりな展示。
おかげで、暇。
「そうなの?ならいんだけど」
折り曲げていた腰を元に戻して、金森くんはスラックスのポケットに手を突っ込む。
「あのさ?」
「うん」
「文化祭の当日、店番やらない?」
「…店番?」
金森くんの口から飛び出した言葉に、一瞬私の動きが止まる。
金森くんは私の様子を窺うように、私の顔を覗き込む。
「…いいよ?」
「え?」
きょとんとした顔で私の顔を凝視する金森くん。
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