278人が本棚に入れています
本棚に追加
最近気付いたことだけど、先生はこうやって個別に聞きに行くと、話し言葉が少し崩れる。
他の人でもそうなんだろうと思うけど、何となく特別な気がして嬉しくなる。
と。
「あ、古賀先生こんなとこにいた!ちょっといいですか?」
頭上から声が聞こえて、見上げると学ランを着た男子生徒が立っていた。
「…と思ったけど、お取込み中ですか?じゃあいいですわ!」
けど、私の様子を見てか、その男子生徒は帰ろうとしてしまう。
「や、待ってくださ…」
「大丈夫だよ。向井さん、ちょっと待っててくれる?」
引き留めようとした私の声を遮って、先生が彼を引き留める。
少し離れて会話をしている二人の姿を見つめながら、先生がさっきまで書いてくれていたものを自分のルーズリーフに書き写す。
「別に写さなくていいよ?あげるから」
「へ?」
再び頭上から声が降って来て、顔を上げる。
「いやーごめんね?3年生だから邪険にできなくて」
先生が私の隣にしゃがみ込む。
最初のコメントを投稿しよう!