問3

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「いえいえ、構いませんよ」 受験生優先は、まぁ当然だと思う。 …って。 「え?写さなくていいってどういうことですか?」 受験生のことを考えていて流しかけたけど、どういうこと? 「うん、この紙あげるから。写さないでいいから話聞いてってこと」 先生はひらひらと、今まで色々とメモしてきた紙をちらつかせる。 「い、いいんですか?」 本当に? それって、残るものがもらえるってことだよね…? 「いいよー、こんなのでいいなら」 これからはもっと丁寧に字書かなきゃ、と呟いている先生を見て、本当なんだと実感した。 「ありがとうございます…!」 「いいよー。じゃあ続けるから」 先生は何でもなかったかのように問題に目を向ける。 でも私にとっては全然どうでもよくないことで。 静かに喜びを噛みしめた。 一段落ついた頃。 「先生」 「ん?」 私の声に反応して、先生がこちらを向く。
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