問3

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と。 「わかったわかった、ごめんね?笑ったりして」 ポス、と頭の上にのせられた、大きな手のひら。 慰められるように優しく撫でるそれは、もちろん先生のもの。 「っ、そんなことで許せませんからっ!」 強がって、勢いに任せて先生の手を振り払う。 「そっかぁ、残念だなぁ」 おどけたようにそう言う先生の顔は、全く残念だと思っているようではない。 そりゃそうだ。 どうせ先生はわかってると思う。 私の真っ赤な顔を見れば、許してないという言葉が嘘だってすぐわかるだろう。 悔しい。 でも、先生に撫でられた頭が嬉しくて。 しかめっ面しながらも、緩む頬を隠せなかった。 「話は戻るけどね」 「は、はいっ!」 急に冷静な声が聞こえて、先生の方を振り返る。 「向井さんは理系で大丈夫だと思うよ。確かに確率とか図形は弱いかもね、他の分野に比べて。でも大丈夫。俺がいくらでも教えるし、向井さんならできるよ」 「っ…」
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