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「ブッ」
思わず吹いてしまった。
ちょうど先生の後ろ姿が見えて、ついでにピョンと一束髪の毛がはねているのも見えた。
「ほ、ホントだ。はねてるっ」
「ね?マジでしょ?」
クスクスと金森くんと、ひそひそ笑いあっていると。
「何?どうかした?」
笑っている私たちに気付いた先生がこちらに近づいてくる。
「いや、先生…後ろはねてますよ」
「え!?」
笑いをこらえながら先生にそのことを教える。
「え!?嘘っ、マジで!?」
先生は焦ったように後ろの髪を手櫛でとかし始める。
「マジかー…、俺これで今日1日過ごしてきたんかー…」
落胆する先生が面白くて、クラス中が笑う。
その後も先生は何度も後ろの髪の毛を気にしつつ黒板に向かっていた。
授業を聞きつつ、私は喜びを噛みしめていた。
「(金森くんのおかげだ)」
今日先生と、ほんの少しだけだけど言葉を交わせたのは。
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