問3

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ちょうどテスト期間、なんてタイミングがいいんだろう。 チャンスかもしれない。 私に与えられた、最後のチャンス。 たぶん、これを逃したら先生に質問できることはないと思う。 そう思いながら3日くらいが経ち。 自分の度胸のなさを本当に恨む。 けど、今日は違う。 「じゃあお疲れ様でしたー。明日もよろしくねー」 先生の掛け声に合わせて、同じ班の子たちはぞろぞろと教室に帰っていく。 でも私は帰れない。 帰れないんだ…っ! 「せ、先生!」 さて帰ろう、としている先生に勢いに任せて声を掛ける。 「ん?何?」 私の声に気付いた先生がこちらを振り向く。 「あのっ、また質問してもいいですかっ…?」 ホントこれ、何度やっても慣れない。 これが最後かもしれないから。 その思いだけで今私は立てているんじゃないかと思う。 「うん、いいよー」 私の苦悩に反して、先生の返事は軽いもの。 これもいつものことなんだけどね。
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