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「じゃあ、今日は教室行くよ。遅くなるかもしんないけどいい?」
「はいっ、構いませんっ」
「オッケー。じゃ、教室で待っててねー」
職員室に向かう先生の後ろ姿を見送り、私も教室に戻る。
あぁダメだ、無表情を作りたいけど。
自然と頬が緩む。
これもいつものこと。
もう何回も先生に質問してるのに…。
「いいよ」と言われるだけでこんなに嬉しい。
「勉強していくから」と言って亜紀と別れ、教室で一人、ワークに取り組みながら先生を待つ。
30分くらい経ったんだろうか。
「ごめん、お待たせー」
「わっ!」
ガラガラという音と共に引き戸が空き、先生が姿を現す。
「わ?」
私の叫び声を不審げに繰り返しながら、先生がこちらへやって来る。
「なーにやってんの?」
ルーズリーフの上に体を伏せている私の顔を覗き込む先生。
「え?いやちょっと…待ってくださいね?」
「……」
笑ってごまかす私を、無表情で見据える先生。
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