問3

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「下に何隠してんの?」 「あ、えっと…」 これ以上ないってくらいの笑顔で、先生が私に詰め寄って来る。 「みーせて!」 「あああ!」 紙を隠すために置かれていた腕を掴まれ、グイッと上にあげられる。 「ん?絵?」 「……」 私の下敷きになっていた紙には、暇だった私が描いたイラストがあった。 「へぇ、こんなの描くんだ」 先生はその紙を持ち上げ、まじまじと見ている。 あぁ、そんなに見ないで…! 恥ずかしさや後悔で内心身悶えてる私。 「向井さんて、絵上手なんだねぇ」 「え?」 私に紙を手渡し、先生は近くにあった机(金森くんのもの)をくっつけて椅子に座る。 「さっすが文芸部」 覚えててくれたんだ…。 ニカッと笑う先生、喜びを噛みしめる私。 本来なら絵を勝手に見たことを怒っていただろう(私が悪いんだけど)。 でも先生ならいいや…って。 私は相当重症かもしれない…いや、重症だろう。
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