追憶

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見えてきた交差点のガードレール 其処には既に沢山の花とお菓子が置いてあって 貴方が此処でその命を散らせたことを 嫌でも思い知らされる 本当なら 私も此処で散るはずだった あの 夏の晴れた昼下がり 貴方と並んで歩いていた時 轟音と共に現れた鉄の塊に 二人同時に撥ねられて 私が目を覚ました時には 貴方は小さな箱の中にいました 太陽の様に笑っている 動く事のないフレームの中の貴方と 傍らに置かれた お揃いのプラチナのリングネックレスが 形を歪めて 寂しげに横たわっていた その 飛び散って付いた紅い液体が 貴方がもういないことを 物語っていた あぁ あなたは死んだんだ
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