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そんな僕等を乗せた旅客船は順調にミッドチルダへと向かうはずだった。
そんな船が突如、激しく揺れた。
「きゃっ」
リーティアが僕の腕に捕まる。
船内には非常アラームが鳴り響くと、辺りがざわつき始めた。
「何?どうしたの?」
そう不安気に尋ねるリーティアに何も答えることが出来ない。そんな事、僕だって知りたい。
再び激しい揺れに見舞われ、僕はリーティアを抱き寄せた。一体何だって言うんだ!?
『船長のラントリアックです』
船内放送から男性の声が流れる。
『本船は現在、所属不明の船から襲撃を受けています。沈没するほどの被害はありませんが、これよりスタッフの指示に従い、避難を開始してください。脱出ポットの数は十分にありますので、落ち着いて移動を行ってください』
放送が終わると、船内は騒がしくなった。
「お兄ちゃん……」
リーティアは不安そうに僕を見る。
「大丈夫。船長も言ってたろ?さあ、脱出ポットの所に行こう」
そう言うと、僕達は両親と合流して移動を開始した。
客室の出入口付近には沢山の人が集り、パニックになった人の怒号が飛び交っている。乗務員の方々が誘導を行いながら沈静化を計るものの、焼け石に水である。
時間を掛け、ようやく脱出ポットに辿り着く。
もう数えるのも億劫になる程、船が揺れていた。
現在誘導中のポットが一杯になった為、その扉を閉じ、次のポットへの誘導が始まろうとした、その時である。
「ぐあっ!?」
客室側にいた乗務員から悲鳴が上がった。 皆が振り返ると共に、鈍く重量感のある音が辺りに響く。目の前には地に伏せる男性乗務員。そして、その先には同じ仮面を付け、デバイスを武装した複数人の魔導師が立っていた。
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