プロローグ

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 僕はふらっと立ち上がり、脱出ポットへ朦朧と歩く。  相手は全滅。これで安全に避難が出来る。 「ヴェスタッ!!」  不意に俺の名前を呼ばれたと思ったら、誰かが思いっきりぶつかって来て、僕と共に、地に倒れた。一瞬後に、そこを射撃魔法が通過し、客席と避難口を繋ぐ扉が降りる。 「しっかりしろっ、ヴェスタ!!」  目の前で声を上げているのは僕が良く知る人物だった。 「……父さん?」 「ああ。無事だったか」  父さんは正気を取り戻した僕を見て、ホッとした表情を浮かべた。 「うん。リーティアと母さんは?」 「もう避難している。私達も急ごう」  良かった……。体中の力が抜けそうになったが、安心するのはまだ早い。僕達も避難しないと。
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