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「誰かー、誰か助けてくださいーー!!」
そんな叫び声が俺の背後から聞こえたので振り返った。
すると帽子を被ったかわいい女の子が目の前に――――。
ドンッ
「――――っ痛てててて」
なんだったんだ、今の。目の前が真っ暗だ。
確かかわいい女の子が目の前にいて、それでぶつかったのか。倒れたのか。うん、そうだ。
「ん？」
しかし何だろうな？ この手に感じる柔らかいものは。
今まで感じたことのない、触ったことのない。凄く気持ちいい柔らかい何か。
でも、何故か懐かしいこの感じ。その何かはもうなんとなくわかっていた。
顔を上げるとよくわかる。
やっぱり。女の子の胸だ!!
俺は今、エロ色の強いラブコメの主人公のようになったんだ!!
最高だぜ!!
今日はなんて素晴らしい日なんだ。
嗚呼、神!!
俺を本当の主人公にしてくれてありがとうございますっ!!
置かれていた手をそのまま動かす。
やっぱり柔らかい、最高だ――――って何やってるんだ、俺。
「ご、ご、ごめん。今のはぶつかって倒れて……不可抗力なんだ」
俺は女の子の上から離れながら言った。
明らかに意識的に揉んでいたって？
そんなこと紳士の俺がするわけないじゃないか。
「って、あれ？」
何の反応もない。
こういう時って、「キャーーーー!！ 何するのよ!!」とか叫ばれた後、ビンタや蹴りが飛んでくるんじゃないのか？
不思議に思い女の子の方を見ると全く動かない。気絶しているみたいだ。
薄いピンクの長い髪に、透き通るような白い肌。
綺麗な水色の瞳に、小さな口と顔。
そしてスレンダーで美しいスタイル。
ドストライクだぜっ……って見蕩れている場合じゃない。
「君、大丈夫？」
こういう時はあまり動かさない方がいいと思い、声だけ掛ける。
まあ、気絶しているだけだと思うが。
でも妄想していてボーっとしていた俺の所為もあるからな。放って置けないよな。
病院にでも連れて行ってあげるか。
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