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……ん? いや、待てよ。
ここでこの子が起きないということは――――そういうことか神!!
貴方は俺に大人の階段を上がれというのですね。
色々とすっ飛ばしている気もするが、俺は気にしない。
しかも都合のいいことに周りには誰もいないんだ。こんなチャンス二度とない。
さっきの路地裏に連れ込んで……って駄目だ駄目だ。
何を考えているんだ俺は。そんなことをしては人として駄目だ。
……でも胸を揉むくらいならさっきもしたし許されるんじゃないだろうか。いや、そうに違いない。
俺は自己解決して行動に移す。
女の子の胸に手を伸ばそうとしたその時、俺の手と女の子の胸の間に自分とよく似た小さな天使が現れた。
「…………!?」
不思議なことが起き、俺は手を引っ込めた。
天使はパタパタとその小さな翼をはばたかせ、俺に語り掛けてきた。
「何をしようとしているのですか、ロード。そんなことをしてはいけないとわかっている筈です。これからの人生を棒に振る気ですか?」
ぐうの音も出ない。
「そ、そうだな。やっぱり駄目だよな。どうかしてたぜ」
「その通りです。そんなことはやめて取り敢えずさっきの路地裏で休ませてあげましょう。あそこなら日も当たらなく、涼しい筈です」
「何ふざけたこと言ってるんだ。この偽善者が!! ロード、お前もだ。何がどうかしてたぜ、だ。一発ヤッちまえばこっちのもんだ。気絶している今がチャンスなんだぞ!!」
今度はいつの間にか俺の頭にいた俺によく似た小さな悪魔がそんなことを言う。これこそまさに悪魔の囁きだな。
「それもそうだな、いいんだよな? ヤッても」
悪魔に唆されるまま手を伸ばす。
「さっさとヤッちまえ、犯しちまえ」
悪魔に言われるがままに。
「何乗せられてるですか。騙されてはいけません、ロード。そいつは君を陥れようとしているんですよ? 信じてはいけません」
天使に言われてまた手を引っ込める。
ぶれぶれだな、俺。
「それと悪魔、聞き捨てならないな。誰が偽善者だ!!」
「けっ、やっと本性表したな、天使さんよお。喋り方が戻ってるぞ? なあ、お前もさっさと天使なんかやめて悪魔になれよ。堕天使によお!!」
天使もキャラがぶれぶれだ。
「誰がなるかよ、お前こそ心を入れ替えて天使になったらどうだ? 悪魔」
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