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とにかく謝罪をし、俺は彼女の部屋に入った。
「来てすぐは水道が出てたんですけど・・・さっき使ったら水が出なくなってて・・・すみません・・・こんな夜中に・・・」
いえいえ、大丈夫ですよ。
このアパート、古いですし。
実はここだけの話、俺の部屋もたまにあるんですよ。
「そうなんですね、わぁ、よかったです。お隣の方にお願いして。」
思わず見とれてしまうような笑顔だった。
とにかく、俺はいつもの通り蛇口を少し叩いてくるくると回した。
「そんなに簡単に出ちゃうんですね!」
少しコツが必要なんです。
この辺を、これくらいの角度で、思いっきり。
俺はいつもの方法を彼女に教えた。
彼女は俺の説明を真剣に聞きながら同じ動きを真似している。
「わぁ・・・でも私、力無いんですよね・・・」
それなら、また止まったら言ってください。
俺でよければいつでもお助けしますから。
「ありがとうございます。じゃあ、また。お願いしますね?」
別に下心があったわけじゃない。
次があれば、と考えたわけでもない。
ただ、何故かそう思ってしまった。その言葉を思わず述べただけだ。
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