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一ヶ月の家計簿はギリギリの黒字だ。鵲が資料だと言って買ってくるグラビアの写真集を月一冊だけに制限すれば余裕で電話線を引ける。
家計簿を所長の机に叩きつけるようにおいて、鈴音はそう説明した。
「グラビアは削れないし、第一、電話って使い方がわかんない・・・」
「まだ、言いますか?」
まだ愚痴る鵲に上から目線で鈴音はため息をつく。
「小野寺は使えるのか?」
「当たり前でしょ。鵲さんと一緒にしないでください。」
「じゃあ、使ってみろよ!」
小学生の言い合いのように声を上げる鵲。が、鈴音は大人の対応で返す。
「電話がないです。」
「エア電話だ!」
「意味ないでしょうが」
結局、事務所の下にある喫茶店『イザナミ』に借りに行った。
が、マスターの村上幸恵は首を縦に振らなかった。
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