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「リンちゃん。鵲さんは極度の機械音痴よ。」
「いやいや、普通はテレビの録画が出来ないみたいなやつでしょ。教え込めばサルだって使えるんですからバカにも教えておかないと。」
「バカってなんだ。」
「やめておいた方がいいと思うけど・・・」
「大丈夫ですよ。」
心配する村上をよそに鈴音は自分のケータイの番号を書いた紙を鵲に手渡した。
「これに電話してください。」
「どっ、どうやってかけるの?」
プッシュ式の電話に対し、中身が分からない箱に手を入れるかのように怯え腰で指を出す鵲。思いっきり背中を押してみたい気持ちを押さえて鈴音はボタンを押すように言った。
「書かれてある数字の通りに押すんですよ。」
「おう。」
しかし、のっけからシャープのボタンを押そうとする。鈴音は腕を掴んだ。
「なんで、それを押すんですか?書いてないですよね。それとも、鵲さんの目には別なものが見えているんですか?」
「だって、なんか、このアミアミつけたら無愛想な数字がかわいく見えるだろうが!」
「絵文字感覚で電話番号を変えるな!」
「絵文字って、何?」
そう言えば、この人、ケータイも持っていないんだ。もちろん、メールもしない。
鈴音は空咳で間を取り戻すと、小細工無しで数字を押すように言った。
が、いっこうに電話がかからない。
「なんで、繋がらないんですかね」
「・・・もしかして、同じ数字を繰り返したことに原因が?」
「それしかないですね。って、小細工無用だって言ったでしょうが!」
「確認のために二回押すだろ!」
「一回で十分だ!目で確認しろ!」
「どこで確認すればいいんだよ!」
「ここ!ここの画面に数字押したら出てくるでしょ。」
鈴音が勢いよく電話機の小さな画面を指さすと、鵲は初めて見たかのように目を丸くした。
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