緊張の水曜日

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「この軍人さん達は何がなんでもハンコゲームをやらせようとする。なら一番の方法は、ハンコを出す機会を多く与え、他人に見られる回数を増やすことだろ。たぶん皆に配られた電気信号の出るハンコじゃなきゃ駄目になるんだ」 「…………すごいですね楓くん。やはりあなたは東京候補の一人なのですね」 「なっ、正樹が東京候補だって?どういう事だ!」 ダンの一言に工藤は反応し、楓を問い詰める。しかし楓自身も唖然、なぜ自分なのかがわからない。 楓達は言わば地下シェルター世代、ちゃんとした学校にも行けず、親からの教育でのみ成長した。他の家庭より家が厳しいこともあり、楓正樹はかなりの勉強をし、確かに成績はいいが、こんなサバイバルをやったことなど。 「成績の件もですが、あなたにはすごい状況判断能力があるではないですか。生きていく上で身につけたのかな」 ……なるほど、すべて知ってるのか。そう、喘息持ちの楓正樹は生きていく上で、スポーツや喧嘩が出来ない分、知略を練ることだけに年月をかけてきたのだ。言われると一般の生徒より知力が数段高い気もする楓であった。 「あと田中くん。わたしはあなたにも期待してるのですよ」 「…………俺も?」
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