緊張の水曜日

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ダン・バスクは田中の肩を叩き、そろそろ時間だからと理由も言わず廊下の彼方へ。ダンは階段を降り、三人の視界から姿を消す。 「田中って頭よかったっけ?」 こいつはマジで言ってるのか、それとも冗談なのか、工藤の質問に楓は驚く。 「いつもダルそうにしてるけどな、田中は同じ学年の中なら俺の次にいいんだぞ」 ジニウスは入学時に全学年同じテストを受けるのだが、そのテスト内容は小学生が受ける難関校の過去問、オ・サールと言ったか。算数の有名な学校だったらしく数字もゴチャゴチャ、だが所詮は小学生レベル。国数理社の計400点、楓正樹が376点、田中健人が351点という高得点をたたき出しているのだ。 「お前ら凄すぎる。俺なんか確か300点前後だったけど順位二桁だったぞ。……ちなみに何番?」 「ん、21番」 「俺は4番だ」 二人はドヤ顔を向ける。この時の楓と田中はいつも以上に輝いて見えた工藤であった。
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