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「お前さあ…」
「何?」
鞠野とはよく話すけど、あっちから話しかけてきたことはあんまりなかった
だから、少しどきっとした
「ONとOFFになるよな」
最初は言ってる意味が分かんなかったけど
すぐに分かった
わたしは、気分の上げ下げが酷い
それを人に知られないようにしてる
この日は、休憩時間には無理矢理上げて
授業中はさっき話していた人間と思えないくらいに静かになっていたのだ
いくら、鞠野に話しかけられても
頷くだけだった
それにはそれなりに理由があったのだけれど
「ああ…うん」
よくわかったね、と言い
思わず苦笑して、彼の洞察力に驚いた
わたしのことよく見てるなあ、なんて思った
彼がなぜ、こんなに洞察力があるかなんて少し考えれば
なんとなく、見当がついたのに
わたしはそんなこと考えもしなかったんだ
わたしは、わたしでは分からない
鞠野の透けないところが好きだった
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