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「遅いなあ」
含み笑いが入った言葉がわたしに向けられる
テーブルの上からその声の方向を見上げると
ひとりの背の高い男子がわたしの横にある脚立に座り見下ろしていた
「…早く、中を片づけなよ」
対面式テーブルの内側にはほこりや紙くずがあちらこちらに散らばっている
わたしの言葉にも動じず、そいつは余裕そうにわたしに向かって
「チビ」
と侮辱ともとれる言葉を言う
「脚立に座ってるあんたに言われてもねー」
ペンキを形に流しこんでローラーを回す
はねて白い制服のシャツに付いた
このままじゃスカートにも付くかもしれない
一緒にペンキ塗りをしていた友達にジャージを取りに行くように誘う
振り向くとそいつはわたしをまだ見下ろしていた
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