14人が本棚に入れています
本棚に追加
がさがさと五月蝿い音が集中力を妨げた
それはわたしだけじゃなかったらしく
鞠野も窓の方を見ていた
鞠野の後ろにいる椎名までつられて窓を見る
案外簡単に人の集中力なんてものはきれるらしい
黙って視線を戻した鞠野に
「台風かな」
と言ってみる
鞠野はわたしの方を見て「え…来るだ?」と困惑した顔で返事をした
すると、椎名が
「来るんじゃねぇの?」
と口をはさむ
わたしと鞠野は椎名の方を向き返事を返した
「ええぇぇえー! マジで?」
これは鞠野
黒板に向かっていた先生が振り返る
「…また、いつもの嘘じゃないでしょうね?」
小声でわたしは椎名に釘をさす
「ニュースで言ってなかったっけ?」
椎名は黒板を見てノートに書き写し始めた
「…傘がないのに、台風とか」
「授業なくなんないかなあ…」
椎名は無理だろ、と言って笑った
最初のコメントを投稿しよう!