その色は桃色と灰色と

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がさがさと五月蝿い音が集中力を妨げた それはわたしだけじゃなかったらしく 鞠野も窓の方を見ていた 鞠野の後ろにいる椎名までつられて窓を見る 案外簡単に人の集中力なんてものはきれるらしい 黙って視線を戻した鞠野に 「台風かな」 と言ってみる 鞠野はわたしの方を見て「え…来るだ?」と困惑した顔で返事をした すると、椎名が 「来るんじゃねぇの?」 と口をはさむ わたしと鞠野は椎名の方を向き返事を返した 「ええぇぇえー! マジで?」 これは鞠野 黒板に向かっていた先生が振り返る 「…また、いつもの嘘じゃないでしょうね?」 小声でわたしは椎名に釘をさす 「ニュースで言ってなかったっけ?」 椎名は黒板を見てノートに書き写し始めた 「…傘がないのに、台風とか」 「授業なくなんないかなあ…」 椎名は無理だろ、と言って笑った
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