その色は桃色と灰色と

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結局、椎名の言うとおり、雨は止まないで風は吹き荒れるし 散々だった わたしと鞠野は雨の中ずぶ濡れで帰ったことは言うまでもない でも、鞠野のことだから途中で上手く人に入れてもらって帰ったんだろう そう思うと、少し悔しいけど 椎名という男はまた不思議なやつで 人を引き寄せる力を持ったというのか とにかく、話しかけてくる人には本当に楽しそうに笑って接する その笑顔がたまらなくいいのだ それを神崎に言うと あれは俺でもいいと思う、と真顔で返された 神崎は何に対しても真面目で でも面白く、有り得ないほど頭が良く、ムードメーカーだった 神崎は椎名と仲がよく、それにつられてわたしも椎名と仲良くなった 椎名はとっつきにくく、最初わたしが話しかけても口数が少なく 普通に話しをするのに苦労したやつだった 多分、今までで一番わたしが骨を折ったやつだと思う
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