雨止んで、また、嵐

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なんだかふんわりと心地良い。 薄く柔らかいオブラートに包まれているようだ。 クラゲのような気泡が、形を変えたり分裂したりしながら上っていく。 ここって……… ズキン! 不意にに水が入り込んでくるような痛みが、時雨を襲う。 ばだばたと全身でもがく。動けば動くほど重い水がまとわりついて、時雨の自由を奪う。 口から大量の息がこぼれた。息苦しさが喉をさらに引き締める。 ああ……行宏さ…… 意識がどこかへ消えていった。
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