雨止んで、また、嵐

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いつの間にか白い綿のようなものの上にいた。 空からはギラギラと太陽が照りつけてくる。眩しさが汗に換算されて、溶けそうなくらいだ。 さあさあ、あなたはまだ体が弱いんだから、ちゃんと雲に隠れてなさい。 微かに口の開く音がした。見上げるが、その表情はもやがかかって見えない。 ほら、何してるの?早く日陰に入りなさい。 言われるがままにふわふわとしたものの下に入った。これは本当に雲なのだろうか。肌触りがとても柔らかい。 見てなさい?この雲をまず大きくして…… 髪の長さと美しさから見て、目の前にいるのは女性だろう。 彼女はきめ細かな手で球をかたどると、その形を崩さぬまま太陽に向かって腕を掲げた。白く平面だった雲が、みるみる天に向かって膨れ上がり、黒雲へと姿を変える。 時雨が隠れていた場所にも、黒さがだんだんと染み渡ってくる。変色した雲にふわふわとした暖かさはなく、じめじめとしていてどこか冷たい。 ここからが本番よ。 女性が腕をしなやかに振った。腕は流れるように波を描き、雲を奮い立たせる。 突如としてピカッと閃光が飛び散った。目を眩ませる時雨。しばらくして、怒号のような音が雲の下から聞こえる。 もしかして雷……だろうか。 勝手に口が動く。自由がきかない。問いかけにたいして女性は、そうよ、と口ずさんだ。 「なんで雷なんか落とすの?人間たちに迷惑がられないの?」
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