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「なんていうか……まあいいや。それより大丈夫なの?お前。でっかい水の塊ん中入ってさ、いや、そもそもあれはなんなんだ?あれがオトシモノ?」
一度にたくさんの問いかけをくらった。
頭の中では小石が飛び交い、コツンコツンと何度も頭蓋骨に衝突する。
「えっと、あの……大丈夫です!あの水の塊は……何だかよく分からないような分かるような……」
「どっちかにしろよ」
「でもあれ自体がオトシモノという訳ではないような……」
はあ、と行宏がため息をつく。
オトシモノは一体何だったんだろう。
あの水泡でないのなら……まさか。
「まあ、とりあえず無事にここまで来れて良かったな」
はっと顔を上げる。行宏の言葉は温かいのに、どこかぶっきらぼうになってきているのは気のせいだろうか。
「はい!………私の思っている場所と違ったらどうしようって思ってたんです。本当に良かったです……」
「あ、そう」
時雨としては思いの縁をぶちまけたつもりだったのだが、今度はあからさまに投げ槍だった。
「誰のお陰でここまで来れたと思ってんの」
はっとした。そういえばまだ行宏にお礼の一つも言ってない。
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