3.見付かる少年

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「うーん、これは……『ぬ』!」 「惜しい! これは『め』だ」 「むー、ユーややこしい」 今は俺の部屋で約束どうりユーに文字を教えている。 一生懸命文字を覚えようとしている姿は、俺から見てもやっぱり普通の子にしか見えない。 「こっちが『め』で、こっちが『ぬ』で、こっちが……あれ?」 「なぁユー」 「? どうしたのパパ?」 「ユーは自分が何か分かるか?」 「ユーはユーだよ?」 あぁ、これは俺の質問が悪かったな。でも何て聞けばいいかな。小難しい話は分かんないだろうし…… 「そうだな……、ユーは自分が人間だと思うか?」 俺からすれば明らかに違う。でもユーがどう思ってるかで自分に対する認識が分かる。 「違うの?」 ……そんな純粋な瞳で不安そうにしないでほしい。自分が悪いことを聞いた気分になる。 「いや、違わないよ。さっきのは忘れてくれ」 「? 変なパパ」 笑いながらそう言うと、ユーはまた字の勉強に戻った。 まぁ、さっきの反応からして自分のことはほとんど知らないんだろう。だったら前がどうとか関係ない、今はただの純粋な女の子だ。そういう風に接しよう。 その日はユーの字の勉強に付き合って終わった。なかなか新鮮な気持ちで楽しかったな。
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