3.見付かる少年

15/26
前へ
/94ページ
次へ
「あれ、ユーは下で一緒にご飯食べないのか?」 昨日押し入れから引っ張りだした絵本を広げるユーに、そう声をかける。 「うん、ご飯はもう食べたよ!」 なんと、まさかと思い時計を見てみたがまだ7時だ。 「今日は早く起きたのか?」 「んー、早かった!」 やはり子供は元気なのだろう、とりあえず俺は下にご飯を食べに行った。 「おはよう、菜幸」 「あらおはよう、今日も無事に起きたのね」 いやそんなに寝坊ばっかりしてねぇよと思いつつ、ご飯を食べ始める。 ――ピンポーン―― 「はーい」 母さんが玄関に向かっていく。 誰だろう?こんな朝っぱらから。 友助か?いや、家の方角が違うからわざわざここまで来る理由が無い。 考えていると母さんがドタバタとこちらに走ってきた。 「ゆ、優太、お友達よ」 お友達?家に迎えに来る程の友達なんて心当たりが無い。 母さんも妙に慌ててるし。 とりあえず玄関の方まで行ってみると理由が分かった。 「こんにちは、優太さん」 ……美しい銀髪の女性が微笑みながら立っていたのだから。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加