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「すごく懐いてくれててね」
「そうですか、可愛らしいですね」
我ながら苦しいとは思ったが、それ以上は聞かずに流してくれた。
そのままユーと母さんに見送られて家を出たのだが……
(……気まずい)
三人並んで歩いているのだが、中々会話が始まらない。白石さんはよく分からないし、菜幸は妙に機嫌が悪いし。
そう思っていたら菜幸が口を開いた。
「……白石さんは随分と人と仲良くなるのが早いのね」
や、やはり機嫌が悪い気がする。口調こそ落ち着いているがなんだか刺々しい。
「どういうことですか?」
「出会った次の日に家にまで迎えに行くなんて中々無いと思うのだけど」
すると、白石さんはさっきまでよりもやや挑発的な笑みを浮かべて……
「誰にでもではありませんよ? 私と坂石さんはお付き合いを前提としたお友達ですもの」
……爆弾を投下した。
「なっ!?」
菜幸は顔を赤く染めてうろたえ、その後俺をジロリと見てくる。
「……本当?」
底冷えのするような声でこちらに聞いてくるので、慌てて答えた。
「いや、そんなことは……」
「そんな、あの時の二人きりで交わした言葉は嘘だったんですか?」
さぞ悲しそうな声色で言ってくる。
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