3.見付かる少年

25/26
前へ
/94ページ
次へ
さて、家を再び出たものの何処に行こうか。 「ユー、どこに行きたい?」 「お人がいっぱいいるところ!」 あらかじめ決めていたのか、即答だった。 人が沢山出てくる絵本でも読んだのだろうか? まぁそれなら商店街がいいだろう、あそこなら人が沢山いるし、距離もそこまで遠くないので夜までには帰ってこれる。 「よし、それじゃあ出発だ!」 「おー!!」 元気に手を上げ出発する。 「あ~る~こ~! あ~る~こ~!」 歌まで歌いながら歩いている、相当ご機嫌のようだ。 「家はやっぱり退屈だったか?」 「ううん、バーバ優しいし楽しかったよ! でもユー沢山のお人まだ見てないから……」 考えてみれば確かに山を降りて以来、ユーは外に出ていない。 好奇心旺盛なユーにとっては外は知らないことだらけだ、出たくもなるだろう。 「よし、休みの日にはちょっと遠くまで朝から出かけてみるか」 「ホント!?」 「あぁ勿論、約束だ」 「約束!」 しばらくやっていなかったが久しぶりに指きりをする。 「「指きった!」」 もうそろそろ商店街が見えてくる。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加