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……だが、遠目から見ても商店街の様子はおかしかった。
「パパ、お人いないよ?」
そう、どう見ても商店街には人が一人もいなかった。それどころか今までも誰ともすれ違わず、車すら通った記憶が無い。
「これは……、おかしいよな」
人が集まるだろうから商店街に向かったのだ、その商店街に人がいない、近づいていくとシャッターすら全て閉まっている事が分かる。
これはどう考えても異常だ。
空は既に赤く染まっている。
「ユー、ごめん今日はお店やってないみたいだ、帰ろう」
「えー」
不満げなユーの声を聞き流し、手を引き振り返る。
人がいた、考え過ぎだったのだろうか、いや違う。
「あら、偶然ですね」
本当は分かってた、あそこまで露骨な態度をとられたら気付かない方が難しい。
ふと友助の言葉を思い出す。
――危険な可能性もあるってことを忘れないでくれ――
夕焼けの太陽を背景に……その銀髪は不気味な程に美しく輝いていた。
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