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「んじゃ、単刀直入に言うよ」
その女はこちらを見据えてそう言ってきた。
「それを渡してくれないかな?」
まぁ、そうだろう。この状況ではそれ以外言われる気がしない。
「それって、ユーのことか?」
「ん? ユー? ……あー、もしかしてそれに名前着けてるの? まー超人型だしねー、気持ちは分からんでもない」
でも、と続ける。
「それは人じゃない、ただの化け物だよ。 君の手に負える代物じゃない」
そう言い切る。
確かに俺だってユーのことはよく分からないし、知らない。だけど……
「…………」
……こんな風に震えてる女の子に対して化け物なんて言い切るやつに、渡せるはずがない。
「渡せるかよ」
その返事は予想していたようで、特に顔色を変えることもない。
「ま、初めから話し合いで片をつけようとは思ってないよ。 今のは最終警告、私の本分は実力行使だからねー」
どうせ記憶も消すし、と呟いている。
それよりヤバい、どう見てもあの手甲には特別な何かが備わっていると見るのが普通だろう。
だがそれが何なのか探る術がない、この人通りのなさとは関係しているのだろうか。
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