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「抵抗しないならそんなに痛くはならない……よっ!」
そう言うやいなや女は駆け出したがあまりに速い。
駆け出した、と認識した次の瞬間には既に目の前にいる。
咄嗟にユーを横に逃がすが、女に頭を掴まれてしまう。
「っ!?」
視界が真っ暗に染まった後すぐに少しの体の浮遊感。
ガンッという音が聞こえたと思えば、頭には今まで味わったことのない痛みが暴れ回っていた。
「!……ガ…ァ……!?」
――熱い、――痛い、――割れそうだ
「パパッ!?」
後頭部からは血が吹き出している、先ほどまで動いていた体はまるで自分のものではないようだ。
「あー、大抵の人はこれで気絶してくれるんだけどな、銀の粒子を近くで浴び続けた影響かな?」
何か言っているが頭に入ってこない、目を開けているはずなのに景色が見えない。
「ま、体は動かないだろうから不運なだけだね。 心配しなくても後で治療くらいしたげるよ」
想像を遥かに超えていた。 逃げるどころか立ち向かえてすらいない。
「さて、それじゃあ捕獲捕獲」
――ダメだ、これじゃダメなんだ
こんなの許せない、約束したんだ、欠片も果たせていない今気絶するわけにはいかない。
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