20人が本棚に入れています
本棚に追加
ガシッと女の足首を掴む。
「……ユ…ゥ………逃げ………」
「……驚いた、まだ動けるんだ? 銀の粒子の力なのか、この子の根性なのやら」
そう声がした次にはまた顔に、先ほどよりも重い拳が叩き込まれた。
「パパッ!? やめてよ! いじめないで!」
既に前は見えない、音も殆ど聞こえない。
思考も回らないがそれでもこの手だけは離せない。
「そんなボロボロなのによくここまで強く握ることができるね、君」
呆れたようにそう言う。
「まったく、後処理が面倒だってのに……死んじゃっても恨まないでよ!」
今度は連続で叩き込まれる。
「やめてよ! やめてってば! 死んじゃうよ!」
頭だけでなく全身、腕、足、胸、腹、余すところなく押し潰される。
「やめて……、やめてよぅ……」
もはや体は殴られているのかどうかすら分からないが、それでも確かに握った手の感触だけは分かる。
「……グス…………ヒック………」
「……ホント、どうなってんのコレ? いくら『銀色』とはいえそこまで体力に特化してるはずもないし……」
最初のコメントを投稿しよう!