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「ここまで粘った根性は褒めてあげ……る?」
拳を振り下ろそうとした直前、背後から強い光を感じる。
そうだ、この子が何も知らなかった上に、あまりに行動を起こさなかったために忘れていた。
嫌というほど分かっているはずではないか。
繭は全て……化け物なのだと。
振り返るとそこには全身を銀色に強く輝かせた、捕獲対象が立っていた。
「……よくもパパを……許さない」
まるで人間のように話す。その言動が無性に感に触った。
「繭に父親なんて、いないでしょうが」
いつのまにか足を掴んでいた手は離れていた。
殴らなくてもすぐに気絶していたのか、殴っていれば確実に死んでいただろう。
(……後はこの繭の捕獲だけ)
右の手甲にはまだ『空き』がある、この為に随分と高性能な物を支給してもらった。
相手の能力は未知数、油断は出来ないが……
(先手必勝!)
何かする前に仕留めてしまえばいい。
全力で駆け出し、捕獲対象に鋭い拳を打ち込む。
こちらは一撃をいれたらそれだけで問題ない、それさえ出来ればこの手甲型の『媒介器』に繭を捕獲できる。
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