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放った拳は何の問題も無く捕獲対象の腹を打ち抜いた。
が、手応えが無い。
避けられた? いや、違う確かに拳は腹を貫いている。
手応えは無かったものの対象は順調に粒子化して……
(……嘘でしょ)
違う、対象に当たったから粒子化したのではない。
元から粒子化していたのだ。
『媒介器』は結合状態のものに衝撃を加えなければ、捕獲は出来ない。
自ら粒子化されては、この手甲型では再び結合するまで手が出せないのだ。
(でも自分で全身を粒子化出来るなんて!?)
そんな個体が存在するなど聞いたことが無い。
本来は『媒介器』を通してのみ起こる特別な現象のはずだった。
捕獲対象はそのまま完全に粒子となり……
先ほどまで私が叩きのめしていた子の体へと入っていった。
(……ちょっとちょっと、いくら何でもイレギュラーが過ぎるでしょう)
これも異常だ、繭の力は強大過ぎるがために人体にそのまま入れれば全身がズタズタになる。
その為の『媒介器』、人の体で繭の力を使うために造られた器なのだ。
当然あの子も耐えられない、それどころかあの体では即死の筈なのだが……。
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