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死なない、それどころか外傷が治ってきている。
もはや私の知ってきたこととは全く別物だ。
――頭がクラクラする
あの少年の指先がピクリと動く。
本能が告げる。
――あれは起こしてはいけない
すぐさま近づき手加減無しの拳を放った。
が、掴まれる。
うつ伏せの状態から上半身のみを振り返らせ、片手で、しっかりと握りしめられた。
あり得ない、こんな体勢で受け止められるほど軽いパンチをしたつもりはない。
しかし現実に自分の拳は受け止められてしまっている。
あまりの驚愕に呆然としてしまった間に、少年は立ち上がってしまう。
その目を見て背筋が凍る。
『銀色』に光るその目は、確かに私に対しての殺意が表れていた。
先ほどまでとは完全に別物だ。
少年は無言で私を掴んでいない方の手を振りかぶる。
私も左手で反撃……駄目だ、掴まれてる右手で分かる、びくともしないだろう。
放たれた拳は顔を狙っているため、咄嗟に左手で庇う。
メシリ、という音が聞こえたかと思えば体が遥か後方に吹き飛ばされた。
「…クッ!?」
あまりの衝撃に受け身をとることも出来ず、道路に叩きつけられる。
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