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「痛っ……つ……!?」
左手を見れば信じられない光景が映っていた。 手甲型で、防御力が自慢の筈の『媒介器』が腕ごとへし折れている。
確かに右の手甲に比べれば劣るが、それでも十分な上物だ。 こうも簡単にへし折られていい筈がない。
「ぐ……ぅ…………!」
とにかく折れた腕を治さなくては、『銀色』の特性の一つは『治癒』だ。 今ならまだ……
「…………」
気が動転していたのだろうか、そのような暇があるはずもない。
目の前では既に少年が拳を振りかぶっており、私に出来ることは残った右手でかろうじて構えるだけだ。
だが、少年の場合と違いこのような姿勢で受け止めることは出来ない。 構えた右手ごと体が押し潰される。
「…!!…ガハッ!!」
下に潰されては衝撃の逃げ場は無い。 全てが自分に吸収され、痛みとなって体を駆け回る。
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