5.意味を知る少年

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「ユー、何があったか分かるか?」 本当は頭を撫でてやりたいが、この血塗れの手ではそれも叶わない。 「……グスッ…、あのお人は……ウゥ……、悪いお人だから…ヒッグ……」 目を真っ赤に泣き腫らしてそう言う。 まさかユーがこれをやったというのか? いやそんなはずは無い、ユーの体は全く血に汚れていない…………不自然なほどに。 先の女の言葉を思い出す。 ――それはただの化け物だよ―― 頭を振りその言葉を打ち消す。 そんなはずは無い。 それに、仮にそうであったとしても―― 「―――ヒュー――ヒュー」 背後から弱々しい呼吸が聞こえた。 まだギリギリ息があるらしい、しかしまさに虫の息だ。 放っておけばすぐに死んでしまうだろう。 ……少しの間、逡巡する。 こいつは本気で俺達を殺そうとした、ユーも捕まっていればどうなっていたか分からない。 だが―― 「あぁ、どうすればいい、――この左手のは駄目だな壊れてる、取り外さなきゃ。 右手のはどうだ、ヒビは少し入っているがまだ使えるか」 この状況を俺が作ったにせよ、そうでないにせよ、人殺しになるわけにはいかない。 こいつを助けるのは、あくまで俺達のためだ。
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