5.意味を知る少年

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俺は確かに体を打ちのめされた、その記憶は確かだ。 しかし今の体には傷がない、俺の治癒力がそこまで高いはずも無い。 なら残る可能性は一つしかない、この女が言っていた『繭の力』とやらのおかげだろう。 それがこの女のものなのか……、いや、十中八九ユーの力のおかげなのだろう。 後で治療するとかとも言っていたが、この状況にはそぐわない。 ならばユーと同じこの『銀色』の手甲、これを使えばなんとかなるかもしれない。 これで無理ならばユーに頼むしかないが……。 そう思いながらとりあえず手甲を着けてみると 【随分と甘い考えの持ち主のようですね】 声が聞こえてきた。 「……白石、さん?」 【あら……、ふふっまだその名前で呼んでくださるんですね】 楽しげな声が頭に響き渡る。 ……そうか、粒子化したからといって意識が消えるわけではないのか。 【ええ、その通りです……それより正気ですか? その女をもし治せばいずれまた襲ってきますよ】 自分もその女の仲間だというのに、そんなことを言ってくる。 「あんたに心配されることじゃない、それよりその口振りだと治すことが出来るんだな?」 【白石さんと呼んでくださりません? ええ、まぁそれはもう簡単に】
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