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その日から毎週金曜になると、
売店で桜井さんに会うようになった。
私たちはお互いにおいしいパンをすすめ合って、
桜井さんがパンを、私が飲み物を買って交換した。
時折、純也さんと彼女に行き会うこともあったけど、
私は自分の気持ちになかなか区切りをつけることが出来ず、
その度に心を沈ませていたが、桜井さんの前では明るく振舞っていた。
季節はやがて冬を迎え、
寒さが厳しい私の住む街では雪も積もった。
登下校にはマフラーも手袋もしてこの身を温めたけれど、
私の心は冷たい風にさらされたままだった。
私は、
純也さんのことを想い続けていた。
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