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翌日の卒業式は日射しはあるのに、 雪がちらつく寒い天候だった。 式が終わり、校舎の正面玄関前で卒業生と在校生が別れを惜しんだり、お祝いをしたりしてにぎわっていた。 私も真っ先に春美さんにお祝いを言ってから、 サッカー部の先輩たちに挨拶に回った。 純也さんともこれで最後。 冷たい風が吹きつける中、最後の言葉を交わした。 「お疲れさまでした。これからも頑張ってください」 ありきたりな言葉しか浮かんでこなかった。 他の先輩よりも短く、簡単に挨拶を終えた。 冷えた風が顔に当たると、 少しだけ濡れたまつ毛が冷たかった。
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