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「どうした?」
阿部の意外な行動にやや驚きながらも理由を聞くと
辺りを少しキョロキョロしながら
「いえ…お母さんが卓哉の家に行くのと勘違いしたらしく、お菓子を持たせたので折角なので斉藤さんのご両親に渡そうかと……」
「鈴!!!」
「……ビクッ!?」
「おい卓哉、そう怖い顔をするな。阿部がびびって涙目じゃないか」
「え…あっ!?……いや…」
自分の表情に気付いたのか卓哉はしどろもどろになる
「あ~、阿部。」
「……はっ、はい!!」
「いや、そんなびくつかなくても…。まぁいいや、実はな俺の両親は10年程前に交通事故で死んでんだ」
「………え…?」
「まぁ、卓哉はその事を知ってたから少し強く当たっちまっただけだ。」
「すいませんでした!!そんなこととは知らず……」
腰を90゜に曲げ頭を下げて謝る。
ん~、なんかシリアスになっちまったな
「俺は気にしてないから頭を上げろ。それと卓哉、いつまでも呆けてないでコイツに謝れ。もう泣きそうだぞ。」
「え!?あっ!ゴメン鈴!!僕昔からよくすぐ感情的になっちゃって……」
直ぐ様阿部に駆け寄り謝罪する。
すると阿部は瞳がまだ滲んでいたが顔は少し微笑んでいた。
「ハイハイ、お前らも呆けてないで勉強するぞ」
パンパンと手を二回叩き他の奴等の意識を戻し勉強会を開始した。
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