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「……、この先、あなたの気持ちに応える自信がないの」
「……、自信がつくまで待つよ」
この会話を境に、君との連絡を絶った。
あれから三年……、お互い一度も連絡は取り合っていなかった。
人を愛することに臆病だった君を、オレは変えることができなかったんだ。
オレの愛し方が……、重荷だったんだろうか。
あの会話で全てが終わった恋なのに、未だに心のどこかで君を待っているオレも、臆病者に違いない。
「ごめん、待たせちゃった?」
和紗が正面に座るなり申し訳なさそうな顔を見せた。
「大丈夫、早く着きすぎたから」
黒いスーツ姿の和紗は相変わらずきれいだった。
「なんか食べようか?」
メニューを和紗に手渡して携帯電話をスラックスのポケットに仕舞い込んだ。
「なんかあったの?」
「ん?」
「……、おとなしいから」
「全然ない、あはは」
少し暗い雰囲気のオレは、和紗の言葉にハッとして笑って誤魔化してみた。
……、おれって女々しいよな。
そう胸の中で呟きながらメニューを捲っていた。
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