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「やっぱり今日の健太おかしいよ……」
「そんなこと無いって」
普段なら和紗と冗談を言って笑い合っているのに、今日のオレは異常なまでに無口だった。
バレンタインが理由なのか、隣の席の初々しいカップルが羨ましいのか、分からなかった。
「はい、これ」
「ん?」
和紗が青い包み箱を差し出した。
「今日はバレンタインですよぉ」
「あっ、うん、ありがとう」
「……、友チョコだけど、健太の好きなブルーで包んで貰ったの」
「そっか、嬉しいなぁ」
……、友チョコだけど。
そうなんだよな、オレ達は友達なんだ。
そんなことを思いながら包み箱のリボンを解いた。
「……、健太、あのね?」
「なに?」
リボンを解く手を止めて、和紗を見た。
和紗は今にも泣き出しそうな顔でオレを見つめていた。
「……、私達って友達だよね?」
「あはは、そうだよ? 今頃どうしたん」
「理由はないの、ただ聞いてみただけ」
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