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……、あぁダメだ、言えない。
私は健太に友達契約を破棄して貰おうと決心してチョコレートを持って来たのに、友チョコだなんて心にも無いことを言ってしまった。
それに今日の健太はなんだかおとなしいし、私の気持ちを悟ったのかな?
……、どうしよう。
「ねぇ、もしもだよ」
「うん」
「もしも、私達が恋人どうしだったら、今日のチョコは特別美味しいよね?」
「あはは、なにそれ?」
「やっと、笑ってくれたね」
「えっ?」
「私、健太の笑顔が好きだから」
「……」
「悩み事でもあるの?」
「あは、なんもないよ」
健太……、伝えたいの、私の思いを伝えたいの、だから笑顔で頷いて?
私の思いに頷くだけでいいから、健太……、お願い。
「破棄して欲しい」
「なにを?」
「……、友達……、契約」
「えっ? あっ、それ、ダメだよ契約は契約だから、あはは」
「……、うん」
頭の中が……、真っ白だった。
涙が遠慮を忘れていたんだ。
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