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それから暫くして、あの人に電話を掛けて聞いてみたんだ。
……、まだ自信を持てないのかと。
悪あがきもほどほどだと自身で呆れていた。
答えは出ていたし、返事も分かっていたのに、聞いてみた。
「うん、健太に私は相応しくないよ」
君の優しさは臆病者のオレをまた運んで来たんだ。
和紗に思いを打ち明けて、和紗もこの先同じことを言うんじゃないかと、脳みそを掠める。
……、けど、和紗に最初に抱いた守りたいという思いは、何故だか消せないままでいる。
どんどん和紗に惹かれていく自分がいた。
臆病者のクセに守りたいだなんて矛盾もいいとこだけど、和紗に惹かれていった。
不思議なくらい自然に惹かれていったんだ。
失いたくない人に変わっていた。
心のつっかえを取り外した今、心の底から純粋に和紗を愛したいと思っていた。
臆病者を、まだ完全には捨てきれなかったけど、そう思っていたんだ。
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