プロローグ

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突然だが、ここで俺の歴史を披露させて欲しい。 園児時代、気になるあの子にモーレツアタックするも実らず。愛しのあの子に号泣され、そこまで嫌だったのか、と初めて理解。 子供ながらに集団的過剰自衛かってぐらいに容赦なく浴びせられた絶対零度の視線と罵倒の数々のおかげで、俺は園児にして異性に対して並々ならぬ苦手意識を植え付けられた。 これが後に語られる『涅槃の犬』の伝説のプロローグだ。 小学生時代は冷戦が続く。トラウマを引き摺って、友人は同性だけで固めた。 俺は同学年で誰よりも先にアレを習得して、伝説となった。 そう……はやぶさだ。そして、3重を経て神となった。 革命集団『煉獄の銀狼』なる謎の組織を立ち上げ凡そ4年、自他共に認めるボスとして君臨し、同年代の同性に毒電波を発信する。 煉獄の銀狼を次世代の少年達に任せて小学校を卒業する頃になっても、俺は極度に異性が駄目だった。 煉獄の銀狼は『地獄の番犬』となり、軍団員を引き連れて中学校へ攻め上がる。 意気軒昂と中学校を制圧しようと試みるも、先客、いやさ代々から学校を支配する自治組織『楽園の天使達』によって強固な守りを誇っていた。 戦争は熾烈を極めた末、俺達『地獄の番犬』の敗北に終わる。 無惨にも三つ首はもがれ、首を失った胴体はその巨躯を学校の敷地に横たえた。 敗因は多分歳の差。軍団は解散に追い込まれ、俺は一匹狼となる。 相変わらず女子は苦手。でも友達作りは苦手じゃなかった。次々と男友達を増やしていく俺、中2ぐらい。付いた渾名は『ガチホモ』。 いじめか。 甚だ遺憾だったので園児時代のトラウマをぶちまけたら、男子一同からは畏敬の念と共に『ゆうしゃ』と呼ばれるようになる。ただし、女子にはとことん引かれた。 構わない。俺を崇める友が居る限り、俺は神であり続けると誓った。齢14にして、俺は悟りを開く。『涅槃の犬』誕生の瞬間だった。 名実ともに神格化された俺は満を持して中学校征服の再戦に踏み切る。
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