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世が世なら、或いは歴史の教科書に載っていたかも知れない一進一退の攻防の末、俺は遂に野望を……成し遂げられる筈もなく。
圧倒的に女子力が足りなかった俺の軍勢は、女子達の弾圧によって脆くも崩れ去った。仕方ない。彼等は皆思春期だったのだから。
俺のように園児時代に思春期を超越している人間がそういるわけない。俺は清清しい程に達観していた。
敗残者の俺は一年を肩身の狭い思いで過ごす。この頃には――同学年の者達の半分以上が消失<ロスト>していたと思う。
それから約1年後、俺はその集団から追放される。音楽性の違いだとか、そんなのと同じ。要は相性の問題。在り来りな理由だ。
振り返ってみれば、彼等は常に怯えていたように思う。俺がくだらない人生譚を作り上げていく中で、無為に消費する時間を恐れていた。
是非を問う。
己の人生に必死で生き残っただけの意味があったのかを。
命あっての物種と言うけど、確かに、生きる事が難しくない世の中になるとこれは命題になる。
くだらない人生。無意味な時間。多分、それが老いて死を意識する瞬間まで、ずっと続く筈だったんだ。
他にきっかけでもない限りは。
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