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「なっ、お、面白過ぎと云われても…。」
大声で笑い転げる暁は、小洒落た雰囲気の店内では相当目立っていた。………止めぬか、暁。
「ねぇ、ちょっと待って!俺凄い疎外感!」
しかもそこに、根っから空気と云うものが読めない漣。
「黙らぬか、漣。」
「いや、だってもともと君凄く浮いてるからね?」
「そうよー。糸部先輩の仰るとーりっ!蚊帳の外、だっけ?」
そんな漣には、俺、暁、稲瀬の口撃を丁重に御見舞してやろうではないか。
案の定、漣は一瞬で撃沈した。ああ、それで良い。暫くそうして居ろ。
「じゃあ、漣くんは放って置きましょうか。……えっと、新島先輩、でしたよね?」
にこり、と微笑みを浮かべて稲瀬が話を進めている。俺の隣では漣がますます萎れていく。
「そうそう、毬ちゃん。」
「聞きましたよー、うちの学校にまで噂が届いてるんですから!超美形同士がくっ付いた、って。皆、眼福モノだって云ってました!」
何故か稲瀬がエヘンと胸を張って誇らしげに云った。
「ふふ、アリガト。初音ちゃん。」
心から幸せそうに暁が微笑む。本当に此奴は新島が愛しくて愛しくて仕方がないのだな。俺もいつか、そんな人間と出逢うのだろうか。
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