雨のち星空

7/29
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「なっ、お、面白過ぎと云われても…。」 大声で笑い転げる暁は、小洒落た雰囲気の店内では相当目立っていた。………止めぬか、暁。 「ねぇ、ちょっと待って!俺凄い疎外感!」 しかもそこに、根っから空気と云うものが読めない漣。 「黙らぬか、漣。」 「いや、だってもともと君凄く浮いてるからね?」 「そうよー。糸部先輩の仰るとーりっ!蚊帳の外、だっけ?」 そんな漣には、俺、暁、稲瀬の口撃を丁重に御見舞してやろうではないか。 案の定、漣は一瞬で撃沈した。ああ、それで良い。暫くそうして居ろ。 「じゃあ、漣くんは放って置きましょうか。……えっと、新島先輩、でしたよね?」 にこり、と微笑みを浮かべて稲瀬が話を進めている。俺の隣では漣がますます萎れていく。 「そうそう、毬ちゃん。」 「聞きましたよー、うちの学校にまで噂が届いてるんですから!超美形同士がくっ付いた、って。皆、眼福モノだって云ってました!」 何故か稲瀬がエヘンと胸を張って誇らしげに云った。 「ふふ、アリガト。初音ちゃん。」 心から幸せそうに暁が微笑む。本当に此奴は新島が愛しくて愛しくて仕方がないのだな。俺もいつか、そんな人間と出逢うのだろうか。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!